行動学会 MailNews (219) February 17 2017 行動学会 MailNews は日本動物行動学会の会員向けに不定期に発行されるメール マガジンです。 ******************************************************************           CONTENTS * 公開シンポジウム「生物学における動画・音声データのアーカイブ - その意 義と課題」 ****************************************************************** ■公開シンポジウム「生物学における動画・音声データのアーカイブ - その意 義と課題」  生物学では、研究過程で動画や音声データを記録し、利用することが以前から 行われてきました。いくつかの博物館や研究機関では、それらのデータを体系的 に収集し、保存することも行われています。一方で、デジタル化による記録媒体 のめまぐるしい移り変わりとデータ数量の増加、それに伴う収蔵・整理作業の負 担増、著作権の複雑化、といった問題も顕在しています。このシンポジウムでは 動画・音声データをアーカイブする機関や研究者から最前線の事例をご紹介頂き、 その意義と課題を整理しつつ、近年進歩する映像認識技術などの適用も含めた将 来展望について議論します。  日時:3月5日(日)13:00〜17:00  会場:大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール(花と緑と自然の情報セン ター2階)     アクセス:     http://www.mus-nh.city.osaka.jp/1attention/index.html#kotsu       花と緑と自然の情報センターは自然史博物館に隣接した建物です。  申込み・参加費:不要  主催:大阪市立自然史博物館  共催:NPO法人西日本自然史系博物館ネットワーク 【プログラム】 13:00-13:10 趣旨説明 13:10-13:50 「深海生物・環境調査映像のアーカイブとWeb公開」  齋藤秀亮(国立研究開発法人海洋研究開発機構) 13:50-14:30 「自然の音と音環境コレクション」  大庭照代(千葉県立中央博物館) 14:30-15:10 「野生チンパンジーの映像エソグラム」  座馬耕一郎(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科) 15:10-15:30 休憩 15:30-16:00 「生物学の動画・音声アーカイブに共通する意義と課題の整理」  石田 惣(大阪市立自然史博物館) 16:00-16:40 「映像認識技術の現状と生物映像への適用可能性」  柳井啓司(電気通信大学大学院情報学専攻) 16:40-17:00 総合討論 17:00 閉会 【各演題要旨】 「深海生物・環境調査映像のアーカイブとWeb公開」  国立研究開発法人海洋研究開発機構では、保有する潜水船や探査機を用いた深 海調査時に深海映像や画像を撮影し、3万時間分以上の映像をアーカイブしてい る。これらの映像は撮影されている深海生物名などのタグを付け、Webサイト 「深海映像・画像アーカイブス」でインターネットに公開している。本発表では、 膨大な深海調査映像のアーカイブや公開における当サイトでの取り組みについて 紹介する。 「自然の音と音環境コレクション」(大庭照代)  千葉県立中央博物館では、平成元年に「自然の音と音環境コレクション」の収 集を始め、国内外で独自に録音した鳥や虫の個別音と各地の音環境の他、録音家 からの寄贈、CD等の出版物等を含む。録音方式や機器の変遷に伴い多様な媒体と 音声ファイルを受入れ、WAVEファイル化を行った。生物名や環境等で検索できる データベース上での試聴を目指す一方、千葉県デジタルミュージアム『音の標本 箱』等のプログラムが活用されている。 「野生チンパンジーの映像エソグラム」(座馬耕一郎)  アフリカに生息する野生チンパンジーの長期調査地では、道具使用行動や社会 行動など、さまざまな「社会的学習を必要とする行動」が報告されており、地域 間で共通する/異なる行動は、チンパンジーの文化として知られている。本発表 では、野生チンパンジーの多様な行動レパートリーを文字による記載と映像によ る記録で収めた“Chimpanzee Behavior in the Wild”の編纂経緯を紹介する。 「生物学の動画・音声アーカイブに共通する意義と課題の整理」(石田 惣)  体系的に収蔵登録された動画・音声データは、研究者のマイニングによって新 たな研究資源になる可能性があり、教育での活用も期待できる。一方、動画・音 声を検索可能とするためのメタデータ付与の手間、ファイル形式の選択、データ の保存方法、著作権者からの許諾条件の設定等が共通の課題と言えそうだ。私た ちが行った研究者へのアンケート調査の結果も踏まえて、それぞれの課題につい て解決の道筋を探ってみたい。 「映像認識技術の現状と生物映像への適用可能性」(柳井啓司)  コンピュータビジョンの研究コミュニティでは、50年以上に渡って画像・映像 認識の研究が続けられて来たが、近年の深層学習の登場により、その技術は飛躍 的な発展を遂げつつある。本講演では、主に映像認識に関して、最新の技術およ び研究例を紹介し、生物動画への適用可能性について考察する。 【シンポジウムに関する問合せ】 大阪市立自然史博物館 石田 惣 〒546-0034 大阪市東住吉区長居公園1-23 tel:06-6697-6221 / fax:06-6697-6225 e-mail: (Web公開用に省略) ※本シンポジウムはJSPS科研費(JP15H02955「動画を博物館の『標本』として収 集・収蔵・利用公開するための課題解決と環境整備」)の進捗及び成果報告とし て行うものです。 ****** end of Japan Ethological Society MailNews (219) ********** 連絡先メールアドレス等はWeb公開用に省略しています。 お知りになりたい方は京都女子大学中田兼介まで(中田のメールアドレスはトップページにあります)