行動学会 MailNews (202) September 6 2016 行動学会 MailNews は日本動物行動学会の会員向けに不定期に発行されるメール マガジンです。 ******************************************************************           CONTENTS * Journal of Ethology総説論文(招待)公表のお知らせ * シンポジウム「バイオロギング×情報科学」のご案内 ****************************************************************** * Journal of Ethology総説論文(招待)公表のお知らせ 日本動物行動学会誌 Journal of Ethology (編集長:安井行雄)はこのたび以下の 総説を招待し掲載しました。 本総説は行動学会の費用負担にてオープンアクセスとなっています。 Takeuchi, T. (2016). Agonistic display or courtship behavior? A review of contests over mating opportunity in butterflies, Journal of Ethology. DOI 10.1007/s10164-016-0487-3 by Tsuyoshi Takeuchi (Osaka Prefecture University) 概要 この総説(Takeuchi 2016)では、チョウの世界では闘争行動は求愛行動と同じだとする斬新な学説が展開 される。チョウには、シジミチョウ科(写真1)、タテハチョウ科などで雄が配偶縄 張りを巡って空中でお互いを追いかけ合う闘争(ときには数十分間も持続する)をす る種がいることが知られている。これまでこの行動はゲーム理論の文脈(利害対立者 間の闘争)で理解されていた。しかし、チョウには相手に物理的ダメージを与えるこ とができる武器がない。相手に攻撃されるわけでもないのに、エネルギーを消耗する 飛翔を続けることは、闘争としては自分から不利になる行動を選択していることにな るため、ゲーム理論による解釈は根本的な問題を抱えていた。 最近の研究(Takeuchi et al. 2016)に依れば、縄張り争いをするチョウが、飛翔中の相手の雌雄を識別できている という証拠はこれまでに得られていない(地面や樹上に静止した相手を匂いなどで識 別できるという証拠はあるが)。それを前提として最節約的に考えると、チョウの雄 同士の縄張り争いは、実は相手が雌かもしれないので求愛目的でお互いを追い、お互 いがそれを受け入れないために結果的に追いかけ合いが続いていることになる。この 論理に基づけば、飛翔中の雄同士では闘争が成立するが、静止している雄同士では闘 争は成立しないことになる。本総説において著者の竹内剛博士(写真2)が過去の研 究を精査したところ、予測通り、配偶縄張りを巡る空中戦は行われるが、雌(蛹を含 む)の周りに集まって静止した雄同士では闘争は行われていないことが分かった。 人間(研究者を含む)の常識はときに先入観となり動物の世界を誤解させる。観察事 実と論理の積み重ねで到達した本総説は、野外に出れば誰にでも観察できるチョウの 配偶競争を理解する新たな視点を与え、さらにその適用範囲がチョウを超えて他の動 物に及ぶのかなど、今後の研究において重要な指針になるだろう。 引用文献 Takeuchi, T. Yabuta, S. Tsubaki, Y. (2016).The erroneous courtship hypothesis: do insects really engage in aerial wars of attrition, Biological Journal of the Linnean Society 118:970-981 http://www.ethology.jp/JE.html 〜〜 ****************************************************************** * シンポジウム「バイオロギング×情報科学」のご案内 日本動物行動学会員の皆様へ 以下の通り、第12回バイオロギング研究会シンポジウムを同志社大学 寒梅館(室町 キャンパス)にて開催します.今年は「バイオロギング×情報科学」をテーマに、 様々な分野の方が講演される予定です. シンポジウムの詳細、ポスター発表の要旨フォーマットについては,研究会ホーム ページにてご確認ください(http://bre.soc.i.kyoto-u.ac.jp/bls/). なお要旨フォーマットですが、今回から簡素化しました(卒論生などの発表も歓迎い たします!).皆様からのたくさんのお申し込みをお待ちしております. ● ワークショップ開催 申込〆切 2016年9月30日(金) ● シンポジウム参加・ポスター発表 申込〆切 2016年10月15日(土) 【プログラム】 12月1日(木)16:00〜 前夜祭企画 第2回女子会ワークショップ(男性も参加可!) テーマ「研究者のLifeを考える」(オーガナイザー三谷曜子・飛龍志津子) 12月2日(金)10:30〜 1)テーマ講演「バイオロギング×情報科学」 招待講演者(敬称略) ・小林博樹(東京大学生産技術研究所) 「野生動物装着センサ用の時空間情報補正機構」 ・岡谷貴之(東北大学大学院情報科学研究科) 「画像認識・空間計測技術の最新動向とバイオロギングへの応用の可能性」 ・前川卓也(大阪大学大学院情報科学研究科) 「ヒトの日常生活センサデータ認識技術と動物データへの応用の可能性」 ・藤岡慧明(同志社大学生命医科学部) 「小規模・大規模空間におけるコウモリの獲物探索ルートに関する実験的、数理的検 討」 ・後藤佑介(東京大学大気海洋研究所) 「経路データから鳥の対気速度ベクトルと現場の風を推定する新手法:オオミズナギ ドリは横風を相殺して帰巣する」 ・伊藤賢太郎(広島大学大学院理学研究科) 「粘菌の探索行動の数理モデル」 2)2016年度新学術領域「生物ナビゲーションのシステム科学」領域説明会 3)ポスター発表(***募集中***) 4)懇親会 12月3日(土)10:00〜12:00 ワークショップ「バイオロギング×情報科学:座談会」(オーガナイザー依田憲) 【申し込み】 ●ワークショップ開催申し込み(〆切 2016年9月30日(金)) ワークショップを募集します.研究発表会や座談会,勉強会など何でも結構です(公 開の予定です).ワークショップ開催を希望される場合は,代表者氏名(所属), ワークショップ名,趣旨,参加予定者数,希望の開催時間(12月1日午後または12月3 日午前・午後・終日)を藤岡慧明((Web公開用に省略))宛てにe-mail (件名をワークショップとしてください)でお申込みください. ●シンポジウム参加申し込み(〆切 2016年10月15日(土)) シンポジウムへの参加,ポスター発表をご希望の方は、件名を「バイオロギング」と し、メール本文にて下記フォーマットに必要事項をご記入の上,藤岡慧明 ((Web公開用に省略))宛てにe-mail(件名をバイオロギングとしてくだ さい)でお申込みください。 【参加申し込み情報(メール本文で以下の情報をお送りください)】 ご氏名: ご所属: メールアドレス: 会員状況:会員/非会員(一般)/非会員(学生) 懇親会: 参加する(一般/学生)/参加しない ポスター発表(責任発表者のみ申込みください):する/しない   発表者名:   題名: ※ポスター発表をご希望の方は,上記フォーマットを用いたシンポジウム参加申し込 みに加えて,ポスター発表用の要旨(研究会ホームページに掲載)をpdf形式でメー ル添付にてご提出ください. ●シンポジウム参加費(当日受付でお支払いください) ・研究会会員無料 ・非会員(一般)3000円 ・非会員(学生)1000円 ●懇親会費(当日受付でお支払いください) ・学生・ポスドク研究員4000円 ・一般6000円 ※ 領収証は、所属先宛てに参加費、懇親会費に分けてご用意いたします.宛名にご 指定のある方は、その旨もお知らせください. ●同志社大学 寒梅館へのアクセス 〒602-0023京都市上京区御所八幡町103 烏丸今出川上る西側 同志社大学寒梅館 http://www.doshisha.ac.jp/information/campus/access/muromachi.html JR京都駅から京都市営地下鉄(烏丸線)に乗り換え,「今出川」駅2番出口から徒歩 1分 ※京都は紅葉のシーズンですので,宿泊の手配をお早めにされることをお勧めいたし ます. 第12回日本バイオロギング研究会シンポジウム・実行委員会 実行委員長:飛龍志津子 ポスター賞審査委員長: 依田憲 会計:渡邉公美子 申し込み受け付け:藤岡慧明 \\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\' 塩見こずえ 国立極地研究所 生物圏研究グループ Email: (Web公開用に省略)  Tel: 042-512-0742 (内線7742) 〒190-8518 東京都立川市緑町10-3 国立極地研究所(5階 C520A) \\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\'\\\' ****** end of Japan Ethological Society MailNews (202) ********** 連絡先メールアドレス等はWeb公開用に省略しています。 お知りになりたい方は京都女子大学中田兼介まで(中田のメールアドレスはトップページにあります)