行動学会 MailNews (123) November 6 2012 行動学会 MailNews は日本動物行動学会の会員向けに不定期に発行されるメール マガジンです。 *************************************************************           CONTENTS ・日本動物行動学会第31回大会(奈良女子大学)  プログラムと講演要旨をダウンロードできます   ・ISBEに参加して 佐藤 望 ************************************************************* 日本動物行動学会第31回(奈良)大会参加予定者の皆様下記ウェブサイトにお いて,プログラムと講演要旨をダウンロードできますので,ご利用下さい。 ただし当日,冊子体を配布いたします。 では,紅葉と正倉院展たけなわの奈良で,実行委員会一同皆様のお越しをお待ち しております。 ・会期 2012年11月23日(金・祝日)〜25日(日) ・会場 奈良女子大学  大会ウェブサイト: http://gi.ics.nara-wu.ac.jp/JES2012/ ************************************************************* ISBEに参加して 佐藤 望 立教大学理科部研究科 学術振興会特別研究員(DC2) Museum and Institute of Zoology, Polish Academy of Sciences スウェーデンのLund大学で開催されたISBEでポスター発表をしてきましたので、 ここで報告したします.今回の貴重な経験を少しでも還元できればと思います. 今回のISBE参加は私にとって2回目でした.前回は2008年にCornell大学で開催 された時に参加しましたが、当時はすべてが新鮮で、参加した事が貴重な経験と なりました.今回は前回以上にいろいろな事を得ようという気持ちで学会に臨み ました.参加された方々にそれぞれ、参加目的があると思いますが、私が一番、 重要視したのは、研究者との交流です.発表を聞く事ももちろん楽しみだったの ですが、自分の研究と近い研究をしている研究者と交流する事で、新しい発見や、 場合によっては共同研究ができればと、出国前から密かに企んでおりました. 結果から述べますと、この目的は成功したと思います.私はカッコウ科の托卵に 関する研究をしているのですが、今回の学会では、口頭、ポスター共に多くの托 卵研究の発表があり、極力積極的に話しかけました. 特に嬉しかったのは、私の研究の核となる論文を発表しているテルアビブ大学の Lotemさんと議論できた事です.Lotemさんを見つけた時は他の方と話していたの ですが、図々しく、「俺らの発表を聞いてくれ!」と無理を言ってポスターを見 てもらい、意見をもらいました.私の発表は彼の理論研究を発展させたものでし たので、Lotemさん自身も嬉しそうに聞いてくれていて、「原稿送ってくれたら 読むよ!」と最も期待(?!)していた言葉も頂きました. 同じくテルアビブ大学のZahaviさんが発表を聞きに来てくれた事も嬉しかったで す.話しかけるのまでにだいぶ緊張しましたが、今後の研究のモチベーションに もなりました. 自分の研究の最大のライバルグループ(相手はそう思っていないと思います が..)のメンバーともお互いの発表を聞いて、十分な時間、議論する事ができ ました.将来、共同で何かできたらいいねという話もできて、将来の可能性がぐ っと広がったように思います. この他にも自分と同じ世代の多くの研究者と交流する事ができて、予想以上に交 流の輪を広げる事ができました.交流した研究者のそれぞれの発表もとてもエキ サイティングなもので、最近の托卵研究のトレンドも理解する事ができました. ここでも嬉しかったのは、いくつかの発表で、私がかかわった研究が引用されて いた点です.自分たちの研究の立ち位置もわかったような気がしました. このように、目的意識をしっかり持っていた事がより充実した日々を送れたのだ と思います.次回、もし参加する事ができれば、次こそ、口頭で発表できたらと いうモチベーションを片手に学会会場を後にしました. ISBEとは関係がありませんが、学会後はすぐに帰らず、ポーランドの博物館へと 向かいましたので、その経験も少し述べます.なお、ここから先は英語が苦手な 私が現地で聞いた事なので、必ずしも正しくない説明もあるかもしれませんが、 ご容赦ください. 私は研究上の都合から、Museum and Institute of Zoology, Polish Academy of Sciencesという組織にも所属しておりますが、一度も行った事がなかったので、 思い切って寄り道しました. せっかく海外の博物館にいくのだから、データも取れないかと考え、事前に連絡 をしたところ、快諾していただいていて、到着するとすでに準備してくれていま した. ただ、博物館と言っても、建物は無く、資料はすべて倉庫に収納されておりまし た.倉庫は空調管理などがしっかりしていたのですが、一般の人には恐らく公開 していないので、もったいないなーという印象を受けました. さて、肝心のコレクションですが、鳥類の標本が4万あるそうです.この数字が 他の博物館と比べて多いのかどうかはさておき、量の多さに感動しました. 私が今回、集めたかったデータは托卵された宿主の巣の卵のコレクションです. 数がかなりあり、滞在時間のほとんどを卵の写真撮影に費やしたため、他の多く の標本を見る事ができなかったのが少し残念ですが、その分、得たものは大きか ったです. カッコウの卵は宿主のそれに擬態する、というのはよく知られている事ですし、 写真では何度も見た事もありましたが、実物を見ると、本当によく擬態していて、 感動しました.実感するというのは、本当に大事な事だと改めて気づかされまし た. このように、せっかく海外に行くのだから、学会開催の前後で、寄り道をすると 良いかもしれません.欧州には、このような博物館がおそらくいくつもあるだろ うし、博物館以外にも勉強や資料収集できるところはたくさんあります. ****** end of Japan Ethological Society MailNews (123) **********