ラウンドテーブル発表要旨

最終更新:2004年10月29日


●精子競争研究の現在●
企画者:宗原弘幸(北大),椿宜高(国立環境研),小山幸子(Indiana Univ.)
12月1日午後16:00-18:00 ”総会の間”

2005年夏に北海道札幌市において国際哺乳類学会が開催されます。そして、その大会ではシンポジウム「哺乳類における精子競争」が企画されており、大会終了後にはサテライトシンポジウムとして近隣の小樽市に場所を移して「精子競争と繁殖戦略」が企画されています。本ラウンドテーブルは、この2つのシンポジウムの宣伝を兼ねて企画したもので、演者としては、ヤリイカのペアオスとスニーカーオスにおける精子の受け渡し場所の比較と受精成功、体サイズによる精莢の長さの2型について研究をされている岩田容子さん(北大)等を予定しているほか、来年の国際哺乳類学会シンポジウムとサテライトシンポジウムに関する資料配布も予定しています。来年のシンポジウムではポスタープレゼンテーションも受付けています。多くの方々の今年の行動学会のラウンドテーブルへの参加および来年の国際哺乳類学会シンポジウムもしくはサテライトシンポジウムへの参加を期待します。

「ヤリイカにおける精子競争〜2つの交接様式と雄の形態的2型〜」
 岩田容子(北海道大学)
「トンボ目の精子競争とメスの配偶者選択−アオモンイトトンボメスがもつ複数の精子貯蔵器官の機能について−」
 ○中原美理(東大生圏システム)・椿 宜高(国立環境研究所)
「共同繁殖するシクリッドJulidochromistranscridivtusは精子競争の強さに応じて精巣のサイズや精子の質を変えることが出来るのか?」
 安房田智司(大阪市立大学)

●オスの交尾器の進化,メスの生殖器の進化●
企画者:林文男(都立大・理)
12月2日午後14:30-16:30 ”順位制の間”

錠と鍵’や‘性選択’という観点から,オスの交尾器の多様性とその進化的背景に関する議論が続いている.オスの交尾器は複雑な構造を有し,近縁グループの中でも種ごとに,あるいは地域集団ごとに様々な形態に多様化していることがある.オスの交尾器の形態的比較研究は進展したが,その機能的側面についての研究は必ずしも充分に行われていない.一方,メスの生殖器の進化に関する研究は立ち遅れている.‘錠と鍵’や‘性選択’の観点では,メスの生殖器がまずあって,それに対するオスの交尾器の形態が検討されているにすぎない.そこで,本ラウンドテーブルでは,オスの交尾器の機能とメスの生殖器の機能の関係,さらにメスの生殖器の進化に主眼をおいて雌雄の交尾器の進化機構を議論したいと考えている.

1.オサムシ類のオスの交尾器とメスの生殖器の機能的相互作用     高見泰興(京大・理)
2.ハサミムシ類のメスの生殖器の多様性とその進化機構          上村佳孝(立正大・地球環境)
3.カワトンボ類のメスの生殖器の機能とオスによる精子の掻き出し機構 林文男(都立大・理)

●順位制とは−進化、機能、解析法●
企画者:辻和希(琉大・農),粕谷英一(九大・理)
12月3日午前9:30-11:30 ”順位制の間”

順位制は多くの動物で知られている現象であり、群れの秩序としてあるいは個体間の関係として、動物の行動や社会の研究においては一貫して重要と考えられてきた。しかし、これまで順位制や順位行動は個別の動物分類群に特異的な研究文脈の中だけで語られることが多く、順位制という現象に関する解決すべきより一般的な問題の所在がわかりにくくなっている。そこで、このラウンドテ−ブルでは、専門・対象動物を異にするパネラー数人に各々の研究文脈で語られてきた順位制に関する研究上の争点を提示していただいた上で、以下の問題について討論する。順位制の定義、解析法、分類群に共通する特徴と違い、順位制の至近要因と順位を決める究極要因、なせ階層性を示すのか、なぜ順位がある種とない種がいるのか、繁殖スキューの理論との関連など。


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